窓から差し込む陽光に照らされた白いベッド。
その上では寝返りを打って、薄く目を開いた。



「――、…」



名前を呼ぼうとした唇がふと、静止する。
まだ少し虚ろな眼差しを中空に向け、何度かゆっくり瞬きをしたあと彼女は静かに息を吐き出した。



「…ああ…」



忘れてた。
彼はもう、いないんだ――。



そっと呟くと、はもう一度嘆息し、白いダブルベッドの上で日差しを浴びながらまどろみに落ちた。






君のいた世界でうたた寝を





08/2/15
title:遙彼方