09/07/28
自分が死んだ後を想像できる?
――自分が死んだ後を想像できる?――
できないから、けどきっとできたとしても、
あなたはそうやって命知らずな真似をして。
私の不安なんて気が付かずに快活に笑って、
そうしていつか私はその笑顔を涙と共に思い出すことになるのだろう。
「んなこと言われたってなぁ、死んじまえばそれまでだろ?」
だから生きてる間に楽しんどくの。
なっ、と瞳を輝かせるあなたにはどれほど言葉を尽くしても伝わらない。
じゃあ私はどうなるの、ひとり残されて、あなたを想って生きればいいの、
それとも悲嘆に暮れて後を追えば?忘れろなんて言うんじゃないでしょう?
連れてってなんてくれないくせに、だったらせめてちゃんと置いて行って。
思いっきり駆け出した後に鎖に気づいて、無様に転ぶなんて御免なの。
「置いてかねぇって。お前の方がふらふらどっか行きそうだってのに」
行かないよ、何言ってんの、見切りつけるんだったらもっと早くに消えてるよ。
怖い、なんて言ってわかってくれる?
いつか何処かに行きそうで、私の前から消えてしまいそうで、
何か大きなもので隔てられそうで。
追いかければいい、探せばいい、そんなもの壊せばいい、そう言うけれど。
違う、そういうんじゃなくて、ねえ、――やっぱりわからないでしょう?
「…なあ。俺はどうすりゃいいんだ?
どうやったらそんな、泣きそうな顔してんの、どうにかできんだ?」
泣きそうなんて、言われたら余計に泣きたくなる。
ごめん、謝りたいのに喉に言葉がつっかえる。
代わりに嗚咽が出てきそうで、押し込めたら本末転倒、目から涙が零れ出た。
(
「悪夢を見た」のだと、いつもより饒舌で薄弱な彼女はそう言った。)