目が覚めて最初に視認したのは、白いシーツとその上に散らばる白銀の髪だった。ぼんやりとそのまま 視線を下げると、腕の中でが眠っている。無防備な寝顔に自然と頬が緩み、そんな自分に苦笑した。 ――すっかり彼女に参ってしまっている。 を起こさないようにベッドから抜け出し――少し寒そうにしたので毛布を掛けた――、 部屋に備えつけの小型冷蔵庫から適当にワインを取り出す。もう一眠りしようかとも思いはしたが、 眠気はすっかり覚めてしまっていた。 カーテンを開けると、薄靄に包まれた街の向こうにそびえ立つ ワインを一口飲み、外に目をやるとそろそろ陽が昇ってくる頃合いだった。テーブルのランプを点け、 カーテンを引くと部屋は僅かに薄暗くなる。まだ少し中身を残したグラスをテーブルに置き、ベッドに 上がるとの髪を撫でた。頬に手を滑らせ、昨夜付けた首の赤い痕をなぞったところでと目が合う。 少し前から起きていたのか、ぼんやりしている様子はない。軽く微笑すると声をかけた。 「おはよう、」 「…ん」 小さく返事をした唇に口づけて、猫をあやすように喉をくすぐる。は身じろぎすると、シーツに 手をついて身を起こした。肩口にすり寄せられた頭を撫でて、二、三度瞬いたあと再び瞳を閉じたに 囁く。 「…おやすみ」 「ん、」と小さな声が返事をした。 07/09/14→08/01/21 |
焼 け に 眠 る |