例えば愛の形を言葉で表現するならば、
マルコの愛はどろどろのぐずぐずで、ひどく濃厚なけれど心地よいものなんだと思う。
「…マルコ…」
「んー…?」
ふわりと後ろから抱きすくめられて、身体の大きい貴方に私の矮躯はいとも簡単に包まれてしまう。
腹部に回された腕が、肩を引き寄せる手が、首筋に寄せられた唇がとろけそうなほど温かくて愛おしくて、
胸の奥にちりちりとした痺れるような甘い感覚が広がった。
ふと視線を下げるとマルコと目が合って、笑んだ彼の唇が私のそれに寄せられる。
「んぅ…」
少しだけ声が漏れてしまって、恥ずかしくて目を瞑ると肩に乗せられていた手が頬を撫でて、
いつもよりずっと速い胸の鼓動が貴方に聞こえてしまうんじゃないかと思った。
「…」
彼といるのはとても幸せなことで、けれどそれだけじゃなくて、
マルコは私の名前を呼んでくれて愛していると言ってくれて、その度に私は幸福に埋もれて死んじゃうんじゃないかと思う。
そう言うとマルコはいつも笑って「大丈夫、俺のキスで起こしてあげるから」、
それはちょっと気障じゃないかと思うんだけど目が覚めてそこにマルコがいればきっと幸せなんだろうなって、
好きで好きで堪らない。告白して良かったなぁって、いつも思う。
「マルコ…」
離れた唇が名残惜しくて、ゼロになった距離がまた開いてしまうのが少し哀しくて、
追いかけるようにマルコの服の袖を握った。
「もっと、ちょうだい…?」
最初の頃はそれを言うのに随分勇気がいったのだけど、今では自然と口から零れる。
淫らな女と思われないかな、そんな不安もマルコの前では塵になって、
愛しくて愛しくて何も考えられずにただ、マルコが欲しいと願う。
「もっと俺を求めてよ」
何回目かのとき少し哀しそうな表情で言われた言葉が嬉しくて、マルコも私を欲してくれてるんだと思ったら涙が出た。
「マルコが、欲しいよ」
微笑んだ顔の、背景が流れて身体に軽い振動。
さっきみたいな触れるだけのキスじゃなくて、ぬるりと入り込んだ舌に首に腕を絡めて、あとは絶え間ない快感にただ酔いしれた。
「愛してるよ、」
愛と云う名の海を泳ぐ